劇場について考える。その2

audience sitting on balconies in santa isabel theater recife brazil

前回に引き続き、劇場について考える。

今回は閉館は決まっているのに建て替え計画が決まらない。そんな「国立劇場」について今回は考えて行きたい。話題の「国立劇場」は、千代田隼町に1966年11月に大劇場1,610席、小劇場590席として誕生した国の劇場である。

現在、2023年10月に閉館し現在の建物全てを撤去し2029年に再開のスケジュールが発表されているのだが、先日行われた2度目の入札も不落札だった。これは単純に国が予定している価格と入札価格が合わなかった訳だが、改修のタイミングや内容など悪い事が重なっている。

前回も少し書いた通り、オリンピック前後から再開発ラッシュが続いている、渋谷駅周辺を筆頭に新宿駅や池袋駅、東京駅と駅周辺での工事や大阪万博の建設がおこなわれている。それにより大手ゼネコンの人材不足やウクライナとロシアの問題(木材が意外にロシアからの輸入が多いらしい)、世界的な半導体不足問題、円安の問題などなど、建築費高騰に繋がっている。

不運としか言いようがないがメーカーに話を聞くと、この問題それだけではなく国が出している計画書が数年前の状態のまま、時世を見て手直しがかかっていないと言う声もあった。確かに、公開されている劇場に関する提案書を見たが、これから建てるのにこの提案は…とメーカーでなくとも尻込みしたくなる内容だと思う。こちらを参照。

金銭的折り合いもつかなければ、劇場の方向性としても?な状態。これが国立劇場です!って大丈夫なのか?と他人事ながらに心配してしまう。

劇場コンサルタントという業種があるが、国に対して第三者機関が提案するのが良いのか?(これも意外に思われるかもですが、劇場新規に建てる時はコンサルや建設委員会的な人達がほぼほぼ使用内容を決めるのだが、開場前に実際に使用するメンバーが入って、開場準備を進めると…なぜ?と思う事が多いと聞きますます。なぜこんな所に?なぜここにない?なぜコレを買った?運営メンバーが入った頃には、予算も使い切っているので、変更も中々厳しいと聞きます)

我々の諸先輩が言われていた様に、海外の大学機関のように国立で演劇系の大学機関を設立し、人材や日本としての演劇の方向性を研究し推進していく様な方が良いのではないか?と思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です