舞台スタッフ、あるいは劇場など、舞台関係の仕事に就かれたばかりの皆さん、ご就職おめでとうございます!
新しい世界への期待とともにすでに「やっていけるだろうか…」という不安も抱えていらっしゃるかもしれませんね。
現場では、専門用語が飛び交い、目まぐるしく状況が変わる中で、先輩から「見て覚えろ」と言われて戸惑うこともあるでしょう。右も左も分からない状況で、何から手をつければ良いのか、途方に暮れてしまう気持ち、よく分かります。舞台の仕事は、時に体力も気力も大きく消耗します。慣れないうちは特に、一日が終わるとぐったり疲れてしまうかもしれません。周りの先輩たちが、少しとっつきにくそうに見えることもあるかもしれませんね。
でも、安心してください。誰もが最初は新人です。
そんな不安を少しでも軽くし、着実に現場に慣れていくための最初のヒントは「人との繋がり」にあります。
ステップ1:まずは、あなたの存在を知ってもらうことから
最初の一歩は、元気な挨拶から始めてみましょう。確かに少し勇気がいるかもしれませんが朝晩の挨拶はもちろん、すれ違うスタッフ一人ひとりに、笑顔で「おはようございます!」「お疲れ様です!」と声をかけてみましょう。たとえ、一見話しかけにくそうな先輩にも、積極的に!
これが、あなたの顔と名前を覚えてもらうための大切なアクションになります。
まずは挨拶をしたり、雑談(住んでる所、出身校、知ってる先輩、好きな劇団など)したりするうちに、少しずつ顔見知りも増え、会話のきっかけも生まれてくるでしょう。
ステップ2:顔と名前を覚え、質問してみよう
会話が出来る様になる挨拶を続けるうちに、少しずつ周りの人の顔と名前が一致してくるはずです。あなたのことも「新しい〇〇さんだね」と認識してくれる人が増えてきます。
そうなったら、次のステップへ。日々の業務の中で「これは何だろう?」「どうしてこうするんだろう?」と疑問に思ったことを、タイミングを見計らって質問してみましょう。
「すみません、今少しよろしいですか?」「〇〇について教えていただけますか?」など、丁寧な言葉遣いを心がけると良いですね。
最初は簡単な質問で構いません。そこから会話が生まれることもあります。
ステップ3:先輩の動きを「観察」する
少しずつ現場の雰囲気に慣れてきたら、周りの先輩たちが「どのように」「何のために」動いているのかを意識して観察してみましょう。「見て覚えろ」という言葉の裏には「まずはよく見て、流れや意図を掴んでほしい」という意図がある場合も多いのです。
どんな道具を使っているか?どんな手順で作業している?周りとどんな連携を取っているか?
観察することで、たくさんの発見があるものです。
ステップ4:観察して生まれた疑問を「再質問」する
観察する中で「なぜあの手順なんだろう?」「もっと良い方法はないのかな?」といった新たな疑問や「こうすれば良いのかな?」という思いが生まれてくるかもしれません。
それを、また先輩に質問してみましょう。
この時に、1人の先輩だけではなく他にも親しくなった先輩にも聞いてみるといいでしょう。
「先ほど〇〇されているのを見ていたのですが、あれはどういう意図があるのですか?」
「〇〇の作業は、次に△△を準備するため、という認識で合っていますか?」など
すると同じ問題に対する回答は一つでは無い事が往々にしてあります。
それは答えが「一つ」では無いからです。次回のコラムにも関連しますが「多くの答え」=「多くの技」につながりますから、再度先輩たちに自分なりに考えたことを交えて質問すると、先輩もあなたの意欲を感じ取り、より深いアドバイスをくれるかもしれません。
分からないことがあるのは当たり前
大切なのは、それをそのままにせず、知ろうとすること、そして周りとコミュニケーションを取ろうとすることです。
舞台創りという素晴らしい仕事の一員となった皆さんを、心から応援しています!