演劇、舞台で使われるテープは、ガムテ ・ビニテ・養生の他にも、リノテープや蓄光テープなどが使われています。色々な業者がテープを出していますが、ホームセンターや100均など、安いテープについつい目が向かいがちです。でも、安いテープは安いなりに、強度や粘着力などに問題がある為、舞台ではあまり使われません。貼ってる途中で避けたり、一度貼り付くと剥がせなかったり、地味に巻きが短かったり…
ではメーカーの製品が良いか?
とは言えこちらも色々ありまして、値段と使い勝手が見合っているか?というと微妙なところです。
今回は舞台監督や大道具さんたちの意見をもとに、舞台上でよく使われるテープと業者の比較を行いました!
(あくまでも使ったことのあるテープの感想です。音響、照明だとまた少し違う結果になるかも…)主なメーカー(もしくは品名)として、セキスイ、ニットー(二トムズ)、マクセル(スリオンテック)、テラオカ、ニチバン、ダイヤテックス、光洋化学、Monfの8社からガムテ・ビニテ・養生テープの3点をそれぞれ比較します。
(なお、3Mをはじめいろいろなテープも制作や小道具などでは使われるようですが今回は対象外です)
■ 基準は主に下記の5点を中心にしています。
- テープの厚さ(強度):舞台は専用性より汎用性重視だと思います。適度な強度が必要です。
- ちぎり易さ:つどつどカッターやハサミを使ってられない状況で、キレイに切れるかどうか?
- 粘着力:すぐにはがれたり、逆に張り直しが出来なかったり…
- はがし易さ・あと残り:バラシの時に床やケーブルにノリが残らない方が良いに決まってます!
- 劣化の速さ:倉庫に保管して数年…ノリが乾いていたり、べちゃべちゃになっていたり…辛い
なお価格は「モノタロウ」を参照に税込プラスαな感じで目安としてご覧ください。なお、購入店やまとめ買いなどによって価格のばらつきがあります。
養生テープといえば紙のマスキングテープもありますが、紙のマステはカモイが1番です。
販売会社 | 商品名 | 金額 |
---|---|---|
ダイヤテックス | パイオラン影武者(艶消黒養生) | 770円 |
光洋化学 | カットエース(艶消黒養生) | 520円 |
二トムズ | さくら養生テープ | 370円 |
Monf | 養生用テープ | 370円 |
セキスイ | フィットライト | 340円 |
マクセル | マスキングライト | 330円 |
テラオカ | Pカット | 320円 |
特に、艶消黒の養生テープは舞台業界では一気に必需品になりました。大道具も小道具も、音響も照明も…とにかく黒い部分のあちこちに使われています。影武者がカットエースよりも知名度的に上かな?使いやすさはほぼ互角
一般的に見かける緑や白の養生テープは、全体的に比較的安価ですが、それぞれ耐久性や粘着剤がかなり違います。建築などの塗装で使う弱粘着でフィット感が強いモノ(テープが薄い)が多い中、1番安いPカットは材料を仮止めしたり、小道具に使われたり粘着と強度があり、また剥がしやすいテープです。
(舞台はバラシがあるから、キレイに剝がせるって大事なのです!)
国内メーカーのみ対象ですが… 国外だとガッファーをはじめヒトクセあるテープもありますね。
販売会社 | 商品名 | 金額 |
---|---|---|
マクセル(スリオンテック) | カラーマットクロス | 770円 |
テラオカ | 布粘着オリーブテープ | 550円 |
セキスイ | 布テープ | 510円 |
ニチバン | 布粘着テープ | 300円 |
テラオカ、オリーブテープは、それなりの粘着とテープの強度、切れ、糊の残り、数年後の粘着まで考慮されちゃうくらい絶妙なバランス。
セキスイ、ニチバン両社のテープは、強度と粘着が薄くて強粘着、梱包用には適しているものの、貼り直しや剥がす事の多い舞台ではやや役不足といった感じでした。(弱粘着は養生テープで代用します)この2社はテープが薄くて、布ガムテープに求める強度に難あり。テープ自体もテープ同士で一度くっつくともう捨てるしかない…
テラオカとスリオンは頑張れば復帰できる。
スリオンテックは、艶消しの白黒があり、艶消しならコレ!テラオカよりも強度は強く、粘着がわずかに弱めの印象(輪っかにした時、テープが硬くて、時間が経つと反発して剥がれて来ちゃう感じ…といって伝わるかな?)
カラフルで一般的なビニールテープ(幅19㎜)とリノテープ(幅50㎜)それぞれの比較
販売会社 | 商品名 | 金額 |
---|---|---|
セキスイ | エスロンビニルテープ | 190円 |
ニトムズ(ニットー) | ビニルテープ | 100円 |
ニチバン | ビニルテープ | 100円 |
テラオカ | ビニルテープ | 100円 |
テラオカ | リノテープ(通称) | 990円 |
ニトムズ(ニットー) | ビニテ厚手梱包用 | 710円 |
バミリや目印、ケーブルの抜け止め、小道具の補強などに使われるビニテです。
電気工事のための絶縁用テープなので厚みがあり、バミリや目印で使いやすい色の数々、粘着力が適度に弱く剥がしたり貼り直しやすい、使い勝手が良いので、舞台上で重宝されるものが上記3社かと思います。
100均などで入手しやすいので、ついついそちらを使いがちですが名前はビニールテープでも「似て非なるもの」
この4種の中で特徴的なのはセキスイのエスロン これは他の物より厚めで硬い印象。しかもお値段も高め。バミリやラインには不向きだと思うんだけどたまに紛れ込んでいる。他の3つはカラーバリエーションくらいでどちらの使い勝手も甲乙つけ難いです。経年劣化での糊の残り具合がちょっと…
Bは太めの透明ビニールテープです。床に敷くリノリウム同士を繋げる時に使うため、リノテープと呼ばれていますが、実やテラオカの商品名でもありました。「透明の太いテープ」はいろいろな種類があり触るまで見分けがつかないことが多いのですが、買うならこの2点が無難です。多分これは貼ってる時間にもよりますが、感覚的にはニトムズの粘着残りが気になるかな…
総合的には テラオカのテープを選んでおけば 間違いはないと思います。
また多くのテープメーカーは幅のサイズ変更の注文も受け付けてくれるそうです!5㎜幅のビニテや100㎜幅のガムテなど いろんな幅のテープを持ってる舞台監督もいます!
(今回は某メーカーの回し者でもステマでもありません。ただただ、そうなってしまった)
また今回載らなかったメーカーさんすみません。(おすすめのメーカーさんが居れば自薦他薦問わずお知らせ下さい。使ってみたいです。)演出部も大道具も使いやすいと選んだのはテラオカのテープでした。
値段がちょっと高めという印象もありますが、あとは艶消しなど使い勝手と用途に合わせて、予算の範囲内で選びましょう。
それにしても、良いテープは高いですが、安いテープでよくある後悔がありません!
参考にして頂ければ幸いです!