上手(かみて)の人と喋りたい…(トランシーバー)

舞台の上手と下手、舞台監督と音響や照明、場内案内、果てはチケット窓口とお客さままで、劇場の大小に関わらずコミュニケーションを取りたい機会は意外に多いと思います。

今から約30年前に画期的な商品が発売されました。それが「特定小電力無線機」です。
(これものによって、小電力が省電力と表記されていたりするのですが、どちらが正しいでしょうね?読み方はどちらも「しょうでんりょく」なんですよね)

これは総務省の電波管理法で定められた、410MHz〜430MHz以下の周波数と440MHz〜470MHz以下の周波数帯を使う10mW以下の出力の無線機の総称で、それこそ各種メーカーから販売されています。発売当時の主な使用用途としてはグループでのツーリングやゲレンデなどでの通話に気軽に使える人気商品でした。現在でもイベント会場や工事現場や飲食店などでの利用など、まだまだ新商品も発売される商品です。

ただ特定小電力の弱点も有り一番ネックとなり得るのが、遠距離の通信です。見通し距離で大体1km程、屋内だと約500mこれに壁や障害物が有ると更に到達距離は短くなります。
もう一つの弱点は、トランシーバー特有の交互通話(片側ごとの通話)に有ります。喋りたい相手に送信ボタンを押している間喋れますが、その間聞いてる相手は喋り返す事が出来ません。子供の頃に皆さんも一度は作った事のあるでしょう「糸電話」の様に片側づつしか話せないのです。

リピーター

これらの弱点を補う為、到達距離の問題には中継機機能を持つ機種などが販売されています。これは通信相手との中間に中継してさらに遠くまで電波を飛ばす機器となっていますが、電源をつなぐだけのWi-Fiルーターの様な形で、ボックスからアンテナが生えた様なリピーターと呼ばれる物とトランシーバー自体に中継機能を持つた物の2種類有ります。

デュプレックス

もう一つの弱点の交互通話(シンプレックス)、相互通話(デュプレックス)と呼ばれる同時通話(いわゆる電話のような通話)機能を持つ機種も存在しますが、電波法上回線の占有を避けるために相互通信は3分間と限定されているのですが、最近の機種は自動で3分で1度切れて即入れ直す機能が有り使用者は、あまり意識せずに電話の様に通話ができます。ですが、往路・復路で2波の電波を使い常に発信し続けるので電池の消費量が多くなります。

この特定小電力の電波はアナログでしたが、近年「デジタル・レジャー無線」と言うものも登場しています。「特定小電力無線」と同様に電波の発信に免許は必要ありませんが「発信局登録(有料)」使っている機種の登録が必要になります。その代わり、発信できる出力が強くなりますので到達距離はかなり遠くまだ飛ばすことができます。

ただし、デジタル特有の弱点もありアナログ電波よりも障害物に弱い傾向があります。遮蔽物が多い場所では意外に近くても電波が届かない事もあるようです。
あと、特定小電力無線機よりも本体価格が高い傾向にあります。