アナログからデジタル、そして光へ

ethernet cables plugged in network switch

照明卓の歴史で、ガス灯から電灯に変化して行く過程で、制御卓と制御ユニット(調光器)間の信号は、直接回線に使用する100Vを流して制御すると言うもので、制御出来る数だけの本数の配線がされていた。その後、数多く電灯を制御して配線本数を増やさずにすむ様にパッチ(強電パッチ)と呼ばれる技法が生まれ、回線をまとめれる様になっても回線には100Vが流れる、まだアナログな状態であった。

少し時代は下り、制御する灯体の種類が増え、卓の設置される場所が舞台から離れる様になった頃に0-10Vの弱い電流を使って電灯の調光制御が出来る様になり、パッチも強電パッチから弱電パッチ(ソフトパッチ・電子クロスパッチ)へと移向した。この弱電パッチの始まった当初でも、しばらくの間は、まだ回線の信号はアナログであったが、何十本と配線していた太い電線ケーブルは、ある程度細い信号用の配線1本になった。

lights photography white lighting
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このアナログ信号からデジタルへと進化したのは、1980年代後半に技術的開発が始まり規格化され1990年以降の事でした。制御卓と制御ユニット間の信号は、この規格化されたDMX512/1990となりました。この調光制御用の信号ですが、それ以外にもムービングライト・LED・特殊効果機器・スモーク・電飾 等々このDMX信号で動く様になりました。

2000年代に入り、デジタル信号DMXの利用は1本線だけでなく数十回本の信号線を1公演で使用する様になっていきました。この何十本ものDMX回線を劇場中に引きまわすのは大変です。配線出来るケーブルの長さも決まっています。

ethernet cable connected to a compartment port
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そんなマイナスな要素を克服する為に登場するのがイーサネット技術になります。DMX回線は、エンタメ界独自の規格で5ピン(3ピンケーブルも使えはする)のキャノンケーブルを使うものでしたが、2005年頃には、PC技術の流用により生まれたNetWork(イーサネット)の活用で、より多くの回線(DMXケーブル64本分がLANケーブル1本)で扱える様になりました。ちなみに、イーサネット回線上で扱うDMX回線を数える時には、1本を1ユニバースと呼びます。

2020年の現在では、この複数のLAN回線をまとめて伝送出来る 光回線(オプティカル)が使われています。