演劇関連書籍プレビュー①「舞台監督」取り扱い書籍

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舞台監督の職能について細かく取り扱った一般書籍は今まで数冊でした。劇場やホールなどで「舞台監督を連れてきて下さい」と言われると、演出家が兼ねたり、部員が少ない演劇部などでは先生が担当するなど「どんな作業をすればよいのか分からないが、とりあえずなんとかなる」あまり重要視されないポジションです。一方で、商業演劇など大きな劇団、組織になるほど舞台監督の重要性は増していきます。海外、ブロードウェイでは演出家・指揮者と並んで大きな権限があるのが「ステージマネージャー」つまり「舞台監督」です。この舞台監督について取り扱った書籍のご紹介です。

『舞台監督読本』舞台監督研究室(クラウドファンディング中 2021年5月27日まで

いきなりですが、まだ発売されていない書籍のご案内から…

商業演劇をはじめ第一線現役で活躍されている舞台監督さん8名が集まり「舞台監督読本」を作ることになりました。現在クラウドファンディングを行っており、目標額を達成すれば書籍化されます。
商業演劇のパンフレットで舞台監督としてクレジットされる方達なので、常に数本の公演準備をしながら本番をこなしており、このような書籍を作るのは不可能だろうと思っていました。しかも、舞台監督は仕事の仕方が十人十色で皆さん違うと言われています。そんなストレートプレイからミュージカル、はては古典芸能まで、幅広い分野の舞台監督が「舞台監督とは?」と、なんと15年もの歳月をかけて話し合いを重ね、構想を練り、ここまで準備してきたようです。
(この半数の方とはご一緒したことがありますが、そんな素振りは見えませんでした…大学の先生に名を連ねている方もいらっしゃいます)

まだ読んでいないので、感想を述べることは出来ませんが「もくじ」を見ただけで、下記の書籍とは一線を画す本になることが読み取れます。舞台監督を目指す方はもとより、関係の深い演出家や舞台制作、演劇舞台業界に興味を持つ方にも重要な内容が書かれていると思われます。特に演劇系学校の教科書として、若い方たちの参考になるように構成されていることにも注目したいところです。

舞台監督読本を出版したい CANPFIREクラウドファンディング

支援額が1500円からとなっており、先に紹介した書籍1冊より舞台監督読本2冊の方が安価かもしれません。
他にも支援額によって、三角スケールや舞台用語集などが検討されています。

(発売されたらこの項目書き直します…)

『舞台監督の仕事』加藤正信著 レクラム社

こちらは大道具を中心とした仕掛けなどの図版が多く、実際に舞台監督を目指す人や仕事としている方が読んでも読み応えのある本です。舞台監督を経験したことがある人や大道具の仕掛け造りに興味がある方にお勧めな1冊です。舞台監督の仕事である禁止行為解除申請(スモークマシンの取り扱いで必要)など、作業場の細かい記述もあるが、見どころはやはり大道具。雪かごの様な簡単な仕掛けから、歌舞伎で使われる大掛かりな仕掛けの解説まで大きな図版で解説されています。

『THE STAFF 舞台監督の仕事』伊藤弘成著 晩成書房

また高校演劇のスタッフワークのバイブルとして30年、赤くて分厚い本で有名な本です。舞台スタッフの各セクションの作業内容を丁寧にまとめて説明されています。大道具・小道具・照明・音響・衣裳・メイク…Qシートや劇場での挨拶など、事細かに書かれておりスタッフワークに興味がなくても一読の価値ありです。
一方でタイトルが舞台監督の仕事というコトで「舞台監督は舞台スタッフの仕事全て出来なければいけない!」という認識が、高校演劇を中心に広まってしまったのはこの本が原因と思われます。音響照明機器の説明がかなり古いモノなので、改訂版が待たれています。

最後に

拙著「マンガ 舞台監督R」
RはリメイクのRで、時代や要望に合わせてアップデートしています。
現在は令和元年8月付けが一番最新版となっております。
内容は、十人十色の舞台監督から共通したエッセンスを抜き出し、仕事の内容や注意していることをマンガにしたものです。一般書籍ではありませんが、お仕事のお誘いを受けるところから、公演のバラシまで描いています。

演劇Net Lanning『マンガ 舞台監督R』書籍 / オンライン演劇グッズ専門店:観劇三昧 (kan-geki.com)