演劇サロン プロジェクト

初めまして、九十九悠(つくもゆう)です。
東京の小劇場で演出や劇作や出演、企画や制作などもしておりました。
興味を持ってここまで目を運んでいただきありがとうございます。

「つくもさんのアトリエ」の場合

今回は、演劇サロンプロジェクトの1つのコーナーで行われている「つくもさんのアトリエ」(以下アトリエ)での事についてお話しさせて下さい。
(毎週土曜日に東京東高円寺のスタジオで行われている演劇の集まり。毎週違う企画が催されている)
 アトリエ(工房)と言いながら、サロンプロジェクトなので サロン(交流・談話室)としての側面も強く…
参加者に7~10分程度の持ち時間で「演劇に対する想いや思い出」をお話いただき。その後に発言者に対しての質疑や話題についての考えを交わしつつ、次の方に交代してお話をいただく。といったスタイルです。
前置きが長くてすみません。
 この「アトリエ」2021年の1月から毎月一回 最終土曜日に行っているので、この記事を書いている時点では、まだ 3回しか行っていないのですが、それでも様々な話題がありました。話題の内容は、各々の事なので明確には記載できませんが・・・傾向などをここでお話し出来ればと思います。


参加者の多くは、私の友人たちでした。観劇をメインとしている人・小劇場で出演している人・Twitterで知り合った人です。最近常連者として参加が多いのは、観劇者です。
 そこで出てくる話には、演劇を始めたキッカケや好きな演劇もありますが・・・演劇に対する悩みや葛藤も多く話題に上ります。この悩みと言っても上手くなりたいとかではなく、何故○○は▲▲なのだろうか?というもの・・・

例えば…
  終演後のアンケートは気になるのか?どうか? 
  SNSはどうやって活用しているのか?

このようにフランクな疑問から幅広く、深刻な個人的内面にも達する一方で、解消しやすい(?)話題もあります。

自分は○○と思っているが他者はどう思うのか?

なんて感じな話題。これは、他の参加者に様々な意見を聞く事で解消していったり、アドバイスとして受け入れる。という感じです。

サロンの魅力 創作者と観劇者の交流

特筆すべきは、芝居をしているだけでは絶対にしないであろう話を、したり 聞いたり 出来ている事です。
芝居を作っている側が、芝居を観ている側の話を聞いたりすること自体かなり珍しいことです。逆に観ている側が、作っている側に疑問を投げかけるのも、また多くはないことです。私もかつては、そんな事はなかったですから、非常に良いサロンになっています。
10年前に、こんな話相手が欲しかったと思うほどに。
「アトリエ」は基本的に談話できればいいので、何かを進展させなくて良い場所です。ですから、好きに話してその場で終わり「アトリエ」の外には持ち出さない。それがこのサロンです。


 ここでは、芝居の上手い下手や作品の善し悪しは、ほとんど出てきません。「こういう団体がこういう試みをしていたのが良かったよ」程度です。「○○という俳優さんいいよね!」などまったく出てきません。
 演劇と教育、演劇とコミュニケーション、演劇とエンタメ、演劇と経済活動などといった事の話が多いように思います。また、共感などしなくても構わないのです。参加者の方々の間で、踏み込まない感があるので意見を聞いて終わり、で留めておくことも多いです。(今まで険悪になったことはない)

 一番暴言を吐くのが私なので、皆さんは丁寧に言葉を出してくれます。

違った側面で言うと「実は話したい」と「人の話を聞きたい」が 混在しているのだと思います。最低でも1分程度は話して頂くのですが・・・逆に言えば、安心して10分話す時間があり、他の参加者もそれをゆったり待てる空間なのです。お喋りが、あまり上手くない人でも、あまり気兼ねなく話せるのかと思います。もちろん想いを話すのに正解はないので、よほどでないかぎり否定などもないです。
(他者の尊厳を傷つけたりが無ければ)
作り手側・観客側。どちらがではなく、どちらも「演劇をしている」のであり、それを楽しめれば良いのではないか?と私は思っています。そして、その楽しむ方法は多種多様であり、多岐にわたるのが演劇なんじゃないかな?とも思っています。

演劇サロンプロジェクトは、その多種多様の中の小さな小さな1つ、そしてアトリエは、その1部分です。
アトリエとして、その楽しみ方を模索(あと9回)していければと今は思っています。

九十九悠