ワールドワイドな話

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もう気が付けば3月になってしまいました。世界的にコロナの影響はまだまだ続いていますが、緊急事態宣言(緩いロックダウン)の日本で辛うじてエンタメ業界は、細々と動いてはいます。私の務める劇場でもクラスターを出すことなく観客動員100%の稼働状況ではありませんが動いてはいます。

そんな中、コロナのおかげなのか?
今月の公演は新時代に突入した感のある仕事になっています。
新しい波は照明製作の仕方です。
・プランナー不在のパターン
コロナ禍ですから、陽性や濃厚接触者になった照明プランナーは、劇場に来れる訳ありません。その際には、劇場の状況をビデオカメラで撮りライブ中継の様にプランナーに送信し、自宅に居るプランナーは、劇場に居るスタッフの(卓にデータを打ち込む)プログラマーに指示を出し、演出家からのノート(最近はダメ出しとは言わなくなりましたね)を修正する形で作り上げました。
最終的に本番前に、どうしても画面では確認仕切れなかった部分の修正を初日前の数日、劇場に来場して行ってから初日を迎えるなんて事も有ります。

・演出家と振付師が外国の方のパターン
外国の関係者が来日することは厳しいですので、先行の事例同様にzoomなどを使って、海外と日本をつないで稽古を乗り切りました。
ここまでのパターンでは、PCを使ったWeb会議と同じで劇場と相手のPCをつなぐ事で問題点は多くありませんでした。


・究極のパターン
これから迎える公演では、最大の状況になりました。海外引っ越し公演の為、大道具セットは海外からで、役者以外の演出家も、振付師も、照明プランナーも、照明プログラマーも、音響プランナーも、アメリカ・イギリスからの中継参加になります。
そうなんです!
いよいよ、照明データも音響データも引越公演とは言え、作るの(操作)が海外から行うと言うトンデモナイ状況になります。
一部省略しますが下記の図が今回やろうとしているシステム図になります。

調光室内に設置したEOS TiとGioが実質本番公演で使用するメイン卓とバックアップ卓になります。客席EOSは、日本側での修正・微調整用の卓になります。
一方海外側でもEOSを設置した上でシミュレーターCGを作成して、卓とCGを同期させた上で制御信号をインターネット上に流しで日本側の卓を遠隔操作して明かり作りをしています。

皆さんが1番知りたいのは
「海外側からムービングなど操作して、タイムラグは?」
って所ですなよね?
こればかりは誰にも判断ができずに難しいですが、プログラマーからの回答では、1秒くらいのラグと言ってます。

これは卓の信号処理の反応速度と言うよりも、中継回線(今回はzoom)側の映像処理のラグだろうと思います。どうしても高解像度のカメラで撮った映像をPCに入れる際の変換処理にかかる時間だと思われます。(この辺りはデジタル放送で時報がズレる問題と一緒かもです)

今後の課題「人間の目とカメラの目の差」
遠隔・中継での問題点が、こればかりはどうしようもないのですが色味や明るさを中継先で完璧に再現するのは難しいと言う事です。
今回も数時間近くかけてホワイトバランスや画面調整しましたが、結局iPadのカメラを使った中継が一番色の再現は感覚に近いと海外側は言ってます。
ですが明るさの確認は微妙なのではと日本側は思ってます。

さてなぜ業務用ビデオカメラで散々ホワイトバランスを取ったのにiPadに負けたか?
これは一つ再生する側のPC画面に問題があります。再生される画面が正しい発色の調整がされているか、日本側の確認用PC画面とマッチしていなければ色味がそろわない訳で、iPadが良いと言っていたのはもしかすると、ロンドンとアメリカでZOOMで使っているPCがMacだったりすると同じApple製品の為に細かい調整をしなくても色味は揃うのは当然ですね。

さてさて、初日はこれからですがどんな問題が今後も出るか?
何にしても、こんな事が可能になると今後、国内的な使い方で言えばプログラマーは自社倉庫や自宅から数現場を監視し、現場には新人のプログラマーが派遣され、何かトラブれば遠方から制御されるとか・・・
国際的な使い方では、海外から人を呼ぶと費用がかかるから途中まで、遠隔で作り最終的に一日か二日間だけ日本に呼ぶとか。
余り考えたくない事がまかり通る時代になったと言うことかもしれません。ある意味、リニア新幹線以上(リニアの登場で関西圏辺りまで移動日・宿泊・仕込みでは無くなり、移動して仕込みが可能になると思われています)に嫌な時代です。

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