公演期間について 考える

woman standing behind red curtain

今年、ブロードウェイで一つの作品の歴史に幕が降りました。35年間上演され続けた「オペラ座の怪人」が千穐楽を迎えました。
アメリカ、ブロードウェイ公演で言う所のロングランは、本当の意味でロングランで「オペラ座〜」で言うならば35年間、毎日休演日以外ずっと公演が続けられて来ており、長い間上演され続けて来た作品だったというわけです。

ただ、決して平坦な日々ではありませんでした。新しいところでは新型コロナでの公演停止期間があり、エンタメの炎が消えるといわれていました。痛ましい事件である2001年9月11日の同時多発テロがあった日に休演しましたが、次の日には、再開したが客足が戻るまで時間はかかったそうです。

ここに、一つ。日本のエンタメと米国のエンタメの違いがあります。
日本で、このロングラン公演をやっている所は、劇団四季の「ライオンキング」が定義に当てはまる公演で、それ以外の日本の公演でロングランと呼ばれるものは、一昔前まで森繁久弥の「屋根の上のヴァイオリン弾き」が800回だ!とか松本白鸚の「ラ・マンチャの男」公演をロングラン公演と読んでいたりジャニーズ公演もロングランをうたい文句にしていたりします。その後は「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」など日本のロングラン公演の代名詞になっていると思います。

ですが日本のロングラン公演は、果たしてロングランと呼んで良いのか?
何故なら、これら日本で言うロングラン公演は、短くても1か月、長くても半年程度の公演期間で上演後。数年空けてまた公演する。これを繰り返している状態をロングランと呼んでいるからです。

この違い、色々良し悪しがあります。

まず制作費について
当然、長い期間やる場合のブロードウェイでは必然的に制作費は高くなります。その為最近制作される公演のプロデューサーは、一口株主の様に多人数で金額を出し合っている場合もあるので、演劇の祭典トニー賞などでプロデューサーが壇上に上がると何人いるのか?というくらい多い作品がたまにあります。近年制作費高騰している事がブロードウェイでも問題になっているそうです。
それでも、長期間上演する事で売上げをあげている状態で、決して赤字になる事をしないし、赤字になるラインが決まっておりそのタイミングで公演を終了しています。
その後には、その作品を旅に出したり、海外に販売したりして更に制作費を回収しています。

方や日本ですが、高額な制作費をかけれない為に必然的、セットや衣装や果ては、制作時間を削り公演を仕上げています。(だから、最近の韓国や海外に作品的に勝てないと私個人は思う)
作品的に日本的なロングランになっている作品の方が、セットや衣装がしっかりしていると感じます。

ブロードウェイ的にロングランで上手い点は、その作品に出たい役者が時間をかけて育つ環境があり、また作品に出る事で生計を立てれるだけのギャラが出る事。日本でいう高校生の時から、ミュージカル専攻の学校が多数あり、役者の層が厚くなる条件が整っていると思う。(YouTubeなどに有名なミュージカル作品の学生公演が多数アップされています)
日本でこの環境が整っているのは、野球くらいでは?と思う。

昔から、諸先輩方も言われてましたが国立学校で専門に演劇人を育成して舞台の世界に入れる環境ができて欲しいと私は願います。

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