海外の展示会を見に行けたのは、世界的流行病の前なのでここ数年は行けていませんので、情報が若干古いですが、参加できていた海外の展示会と今回の展示会「ProLight & ProVisual」で同様の傾向が一つ有るように感じました。
皆さん!好きな歌手のアリーナツアーで歌い手の後ろに顔のUPやイメージ動画や、歌詞が出ているのを見たことありませんか?
その動画を表示するシステム機器についての展示が近年、国内外の展示会で非常に多くの企業が展示しているのです。
このシステムは、イメージメッシュと呼ばれたり、シースルービジョンと呼ばれるものですが、時代と共に軽くなり、明るくなり、映像が精細になり、発色が綺麗になり、曲面でも表示ができる様になるなど、毎年の展示会で少しづつ進化しています。
ただ、システム的には映像を映すだけのシステムですので普通に考えれば、プロジェクター(映写機)で良いのでは?と思いますよね?
でも、一言に映像を出すだけと言っても、それぞのシステムで一長一短があるのです。
例えば、プロジェクターで大画面の表示をする為には、プロジェクターに広角なレンズを使ったり、それでも足りなければ、スクリーンとプロジェクターの距離を離す必要があります。
この距離を取るのに1番簡単な方法は、アリーナや劇場でも出演者と観客席の最後列は必然的に距離があります。この距離を利用して観客席の後ろにプロジェクターを置いて舞台に照射するのが距離が1番取りやすい方法ですね。
ですが、光の特性として照射面積が倍になると照度は1/4になります。ですので距離が離れれば映像は暗くなります。また、観客の頭上で常に光の帯が出る事になります。最近の舞台もコンサートも演出としてスモークが焚かれている状態が多いですが、そうなると客席上空が上図の様に常に光り輝くことになります。また下図の様にもなりかねません。出演者に映像がかかり、顔色が変になる。
出演者の前面から照射する弊害ですね。
この問題を解決する為に「リア打ち」と呼ばれる、ステージ後ろから照射する方法もありますが、劇場などではまず絶対的に舞台後ろに空間的余裕はない事が多いですね。
またアリーナでも映像の照射に制約があると舞台セットや演出に制約が出て来てしまいます。
制約が多いとなかなか、演出的に映像を舞台で使う機会は以前は少なかったのですが、それらの制約が少ないLEDのイメージメッシュが登場してから、演出効果の一環として使われる機会が増えて来ています。
ただ、LEDのシステムも万能ではありません。映像サイズが広くなれば、消費電力も大きくなります。
どんなに大劇場と呼ばれる劇場でも、観客席が近いためにLEDの照度を100%出力では使わないです(100%で出力すると目が開けられないほど明るいらしいです。)その為に電力消費は抑えられているらしいですが、それでも舞台全面がイメージメッシュとなった場合には、消費電力は大きなものです。
また軽くなったとはいえ、まだまだ重量が有ります。床やら安全対策で吊る場合の荷重制限の問題などもあります。
ここ数年先の展示会でも、まだまだ新しいLED映像パネルの技術発表が続いていくでしょう。